
白布遊人とは
“歴史・自然・人”白布温泉を象徴する3つのキーワード。
「遊人」は、その中の「人」にスポットをあてたプロジェクトです。
白布温泉は700年以上続く歴史があり、家族や白布に住む人また、
白布に携わる人々がいて長きに渡って続いてきました。
「人」を伝える事で「地域の魅力」を知っていただき
新たな「白布ファン」を増やしていくきっかけになる。
つまり「遊人」=「友人」を目指します!



山形県米沢市出身。高校卒業後、吾妻観光開発㈱入社(㈱天元台の前会社)、ホテル・ロッジ・フロント係・山案内を務める。その後(有)鈴木デザイン、東京第一ホテル米沢に勤務し、2008年再び㈱天元台に入社。2017年より代表取締役社長となる。天元台×白布リボーン協議会では、副会長として持続可能な環境づくりを目指し活動をしている。

山田 長一
Choichi Yamada
株式会社天元台


変わらない温かな繋がり
日々向き合い実感 天元台高原・白布温泉の魅力、人々の温かさ
昭和38年硫黄鉱山の跡地から誕生した「天元台高原スキー場」。整備された環境と優れた雪質から、国際規模のスキー大会が開催されたり、スキー授業や林間学校の拠点になるなど、全国各地からたくさんの人が訪れています。昭和48年に入社した山田長一さん。山案内をされていた鈴木亮先生の補助として西吾妻山を巡ることになり、登山客と一緒に先生の話に耳を傾けながら高山植物や樹木について学び、次第に興味を深めていったそうです。また車には釣り竿を常備。仕事帰りは渓流でイワナを釣りながら下山するほど夢中になっていたとか。冬になれば今は使用されていない新高湯コースを滑走。新高湯温泉に癒されてから仕事に戻るという至福の時を堪能されていました。
その後広報の仕事に携わったことがきっかけで、自らも手掛けてみたいとデザイン会社に転職。さらに天元台スキー場で培ったノウハウを活かしたいとホテルに転職。20年を経て再び天元台高原を盛り上げたいと決意し、戻ってきました。「退社の時、地域でお世話になった方々にご挨拶に伺いました。すると皆さん『次も頑張りなよ』と優しく送り出してくれ。戻ってきた際には『よく帰ってきたね』と応援してくれ。白布温泉や天元台高原に関わる人々の温かさを実感しました」。

ここにある天元台高原を「人々」に「未来」に伝えたい
経済の変動や進化するレジャー産業の影響からか、年々減少し続けるスキー人口。天元台高原スキー場への来客数への不安が叫ばれる最中、山田さんは戻ってきました。「置かれている状況は変わっていましたが、岩や植物はほとんど当時のままでした。トレッキングがブームになっていましたから、冬以外のシーズンへの期待が膨らみましたね」。
お気に入りの場所はつがもりリフトを下りて、ゆっくり歩き約1時間半。梵天岩の手前から見下ろす湿原。「水沼が点在する『いろは沼』に、かわいらしい花々。冬には樹氷となる原生林 アオモリトドマツが広がっていて。ここじゃないと見られない風景、ここでしか体感できない自然があります。マイナスイオンの静寂な香りを思いきり吸い込みながら、いつも『もっと伝えたい』という気持ちが高まります」。

ここでしか見られない風景
ここだから体感できる自然
人と自然が共生する場所をもっと楽しく、豊かに
スキー場ができて間もなく60年、そして天元台高原スキー場として新しい組織になり20年。「この先もずっとたくさんの方に訪れていただけるよう発信し続けたい」と山田さん。これまで夕日を眺めるロープウエイ、サンセットクルージングを企画したり、星空を撮影するワークショップなど、スタッフと一緒に何かできないかと、ポジティブな思考で通常とは異なる催しものを展開してきました。今年の冬は圧雪車で雪山を巡るツアーや、3km続く湯の平コースにバンク(障害物)を造るなどし、お客様を楽しませてくれています。また、防風設備の整ったロープウエイやキャビンの設置など荒天対策への可能性も模索し続けているそうです。「夢物語と言われるかもしれません。しかし、西吾妻山に天元台高原、そして白布温泉、それぞれの魅力を活かしながら共生していきたいのです。口うるさいと嫌がられてもいい、私は㈱天元台を一丁前の会社にできるよう努力していきます」。様々な角度から天元台高原を楽しむ催し物に、今後も注目です。

たのもしい「キャビン付き圧雪車」と。
米沢市内が見渡せる展望台や雄大な雪世界を巡る乗車体験も人気。
SHIRABU YUJIN
太田 雅啓
Ota Masahir
有限会社 太田酒店


笑顔が素敵な奥様!お酒に詳しく自分にあったお酒が見つかるはずです!
白布温泉生まれ。白布温泉唯一のお土産店「かもしかや」3代目。初代が山形市に家を構える大工で、白布地域は昔通学が難しかったことから、山形市内の学校に通い育った。稼業に携わり43年。山形の地酒の魅力を発信し続けている。心が落ち着くのは奥様久美子さんとの時間。


人との出会いから得たたくさんの学びと気づき
山形の美味しい地酒が手に入ると人気の「かもしかや」太田酒店。しかし常連さんたちは、実は店主の太田雅啓さんが珈琲好きであると知っているようです。「好みのお酒を飲み続けると、その味に引っぱられてしまう。日本酒の香りを幅広く感じるために、お酒はたしなむ程度。珈琲も面白いですよね」。
もともと太田さんの祖父は山形市の大工で、白布温泉に住み込みで部屋の改修や内装の細工をしていたそうです。それがきっかけとなり、大正5年頃、中屋旅館本館入り口付近に場所を借り、木製品やお酒を販売し始めます。その後2代目のお父様が現在の場所に移転。民宿を営んだり、国立公園の管理人やスキー場のパトロール隊長としても活躍されましたが、急逝。関小学校白布高湯分校の教員をしていたお母様が店を守り、その後太田さんが3代目として跡を継ぐ決意をしました。「私は22歳、世の中は地酒ブームの前でした。県が山形のお酒を全国にと力を入れ始めた頃で、県内の酒蔵の息子たちが『オンリーワンの山形の酒を』と一生懸命学んでいるところに混ぜてもらったんです。知識的なことはもちろん、人との出会いからたくさんの刺激を受け、地元山形の酒造りの環境や、つくり手の想いを届けたいと考えるようになりました」。そして蔵元を巡りながら手書きの「かもしかだより」を発行。ワープロからパソコン、そしてインターネットへ。編集・発信方法を進化させながら、山形の地酒の魅力を伝え続けています。

お店に訪れるお客様や蔵元と語り合う囲炉裏端。
それぞれの想いを丁寧に繋いでいる。
人と想いを繋いで
「日本酒の魅力は『人』にあると感じています。つくり手の努力や人柄がお酒に表れるんです」。かもしかやには、特約店だけが扱うことのできる、限定流通商品が多く並んでいます。「私は繋ぐ役」と太田さん。「農家の人がお米を育て、杜氏が不眠不休で仕込んで。命を吹き込み造られたお酒を中途半端な気持ちで販売できません」。品質劣化を防ぐため、基本的に0度で管理。作り手の想いをお客様に届け、お客様の反応も蔵元にフィードバック、長年の信頼関係から託されたお酒たちでした。
白布温泉という立地から、お客様のほとんどが県外の方とのこと。何度も通ってくださったり、親子3代で訪れてくれたり、旅行後にインターネットから注文があったりと、長年お付き合いのあるお客様がたくさんいらっしゃるそうです。「これは白布温泉あってこそのこと。ここで出会って、繋がって。きっとお客様は旅行の思い出と共に味わってくれているはず。モノを売っているようで、それはモノではないのです」。

この地での出会いに感謝 受け継がれた地力に感謝
「幸せってどんな時に感じますか?」太田さんは、昔お客様にお風呂に入る時が一番の幸せだと言われたことを教えてくれました。「湯船に浸かった瞬間、確かに体の底から『は~』って吐息がこぼれるんです。白布温泉を訪れ、お散歩して、おしゃべりして、おいしい物を食べて、温泉に入ると力が湧いてくるっておっしゃって。これはお酒と一緒、ここだからこその『地力』なんです」。ほんわか居心地の良い素朴な環境、温かい人柄、温泉を守り繋いでくれた先人たちに、日々感謝しているそうです。「700年山の中で続いているのも『地力』あってこそのこと。私たちは生かされているんだなと感じます」。夢は白布温泉が人々の「心の桃源郷」になること。「天元台×白布リボーン協議会が立ち上がりました。リボーンとは生まれ変わるという意味ですが、人々が求める白布の原点を忘れず、この地を愛し、ありのままの白布を誇りに思って、心の安らぎを届けていけたらいいですね」。





[ 2021 Autumn ]
VOL.02
CONTENTS
●(株)天元台 太田幸男
「仕事は楽しく一生懸命」
空気の温度や質感が変化する、特別な場所があるんです
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新たなことを成し遂げる仲間とこれからの未来に期待
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訪れるほどに特別な白布温泉、天元台高原
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行楽・観光地とて、職場として。さらなる魅力づくりを
●そば処 吾妻軒 宮本靖
「なんとかなすさ!!」
白布で愛されるラーメンとそば
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白布唯一の食堂だから。人々の拠点になれたらいいですね
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静けさが心地よい白布の四季と光
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電動アシスト付きマウンテンバイクの登場
●表紙
2021年3月に完全閉校となった「米沢市立関小学校 白布高湯分校」。解体される前にと、一日だけ小学生に戻ったかの様にこの跡地へ集い、表紙の撮影が行われました。
白布遊人VOL.2
(PDF形式)

[ 2021 Autumn ]
VOL.03
CONTENTS
●白布温泉 東屋 宍戸 紘次郎
「いつも笑顔で 仕事は楽しく」
天元台・白布エリアがいつも笑顔に溢れ、活気に満ちた場所に
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暮らす人、訪れる人を魅了する白布の四季の移ろい
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地域に根付く湯治と自然や生き物との共存
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「温泉」と「水」を 守り、届ける使命
●中屋別館 不動閣 遠藤 秀平
「晴耕雨読」
七〇〇年も前から、絶えず湧出する温泉。そのスケール感。
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壊れる車ほどカワイイ?イタフラ車の粋に惹かれ
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誰かの想いを深め繋げる種まき
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悠久の時を白布で体感
●表紙
表紙を飾るのは、各宿の若旦那を中心に結成された「白布消防団」と名瀑、白布大滝。雄大で明媚な白布の自然と温泉そして地域を、彼らはこれからも守り続けていくのです。
白布遊人VOL.3
(PDF形式)

[ 2021 summer ]
VOL.01
CONTENTS
●湯滝の宿 西屋 遠藤友紀雄
「お湯 宿 人々未来へ開こう」
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命を体感する白布の自然
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音楽が好き。次なる音を待ちわびて
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目指すのは「笑顔」。子どもたちの未来を明るいものに
●新高湯温泉 吾妻屋旅館 安部直人
「長寿と繁栄を」
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エンタープライズ号で美しき白布高湯の宇宙へ
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見て、聞いて、体感湧き出す温泉の恵
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心安らぎ、背中を押す「基地」の存在
●表紙
開湯700年。歴史の始まりとも言える「白布源泉」の場で表紙の撮影が行われました。白布温泉街を盛り上げていく方々が一同に集い、創刊号にふさわしい最高のスタートをきることができました。
白布遊人VOL.1
(PDF形式)